MT4ビルド735がリリースされ、正式にバーチャルホスティング機能が実装されました。これによりMT4から簡単に、そして安価でVPSを利用することができるようになりました。初回は24時間の無料枠があるので試してみても損はないでしょう。
バーチャルホスティング機能とは
いわゆるVPSのことで、VPSは簡単にいえばMT4専用のパソコンをレンタルし、ネット経由でそのパソコンにアクセスするものです。今回紹介するMT4のバーチャルホスティング機能もVPSと同じでMT4を常時起動させる必要がなくなるものです。
MT4のバーチャルホスティングと普通のVPSの違いと比較
大きな違いは、通常のVPSはWindowsを遠隔操作することになるが、バーチャルホスティング機能はMT4だけで完結するためWindowsを遠隔操作することはないという点です。
しかし、通常のVPSと違ってWindowsを使わないということは、1台のパソコン上でMT4を複数起動させることなど複雑なことができないという意味でもあります。
具体的な動作については後ほど説明するとし、VPSとは全く違うと言っても過言ではないので用途は限られると思ったほうがいいでしょう。
VPSレンタルの手順解説
ナビゲーター内の今ログイン中の口座を右クリックしRegister a Virtual Serverをクリック。
登録ウィザードが表示されるので次へをクリック。
MQL5アカウントにログインしていなかった場合は次の画面が表示され、ログインを既に済ませておけばスキップされます。まだアカウントを作っていない場合は必要なので、任意のユーザーネームとメールアドレスを入力しRegister MQL5.com accountのボタンをクリック。パスワードがメールで送られてくるので受け取ったらログインをしましょう。
注意事項がいくつか表示されるが詳細は後述。この画面も特に操作は必要ないので次へをクリックする。
次は実際に使用するサーバーを選択します。
ここで重要なのは値段(Price)とサーバーの応答時間(Ping)です。値段は1ヶ月の料金が米ドルで表示されており、Pingはミリ秒で表示されているので数字が小さいのが良い。なお、初回利用時は1440分(24時間)の無料時間があります。
サーバーを1つ選択し次へをクリック。普通はPing値が低いものでいいでしょう。
次に料金プランの選択画面となります。
一番上のFree:1440 minutes of evaluation period leftが24時間の無料プランとなり、その他にも1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年契約が可能で長期間ほど割引があります。料金プランの変更は選択したレンタル期間が終了してからとなるので注意しましょう。
料金プランを選択したらI agree to the virtual hosting service rulesにチェックを入れ次へをクリック。もし自動的に更新をして欲しい場合はその下のAutomatically renew subscription with sufficient funds and terminal activityにチェックを入れましょう。
最後にVPSに移管する設定を選択しますが、この移管というのが普通のVPSと違っており、Windowsを遠隔操作するのではなくローカルの環境や設定をMT4が自動でサーバーに移してくれます。
All、Experts、Signalの3種類が用意されており、シグナルコピー専門の口座であれば3つ目で、EAの自動売買目的でシグナルは必要なければ2つ目、どちらも必要であれば1つ目を選び、Migrate nowのボタンをクリックします。このMigrate nowはいつでも変更でき飛ばしてもOKですが、せずに完了を押してもサーバーに接続しないため注意してください。
よくわからない場合はAllを選択すればEAもシグナルも全て利用でき、特にデメリットがあるわけではないのでオススメです。
移管(Migration)は、ローカルの設定をVPSに反映させる作業のことを指します。EAやシグナルの設定をVPSに反映させたりします。
手続きが正常に完了するとナビゲーターの口座の下にVPSが表示されます。そこを右クリックするとVPSサーバーの詳細やログ、接続と停止、解約が可能となっています。解約は非常に簡単で、クリックすると確認がダイアログが出るのでOKを押すだけです。
1つ手前の手順でMigrate nowをクリックしなかった場合はここで接続をしましょう。また、ローカルとサーバーでシンクロしていないと感じた時はシンクロ作業をもう一度やってみるのもいいでしょう。
以上でバーチャルホスティングの登録完了となります。利用するEAの設定の見直しや正常に動作をしているか、接続し忘れていないかなど基本的なことを確認しつつ動作確認を行いましょう。エラーが発生していればJournalにログが出ているはずなので必ずチェックしよう。
この移管というのがクセモノで説明より実際にやってみるほうがわかりやすいと思います。
自動更新の設定方法
バーチャルホスティング契約後の自動更新の設定、またはキャンセルはMQL5コミュニティのサイトから行えます。
アカウントへログイン後、ページ右上のアカウントをクリックしプロフィール画面へ行き、そして左メニューの最下段にあるHostingをクリック。
設定したいVPSにマウスカースルを持って行くと歯車マークが出ます。Automatically renewが自動更新、Cancel subscriptionは解約です。
次のようにAutomatically renewにチェックが入っていると自動更新となります。
キャンセルは一時停止とは違い解約してしまうので注意。
バーチャルホスティング関する注意点
何かあった時は操作履歴を確認する
英語での表記になっている可能性が高いが、エラーなどは履歴に出るためなにかおかしいと感じた時は必ずチェックしましょう。
サーバー起動後はシグナルが一旦停止する
シグナルをコピー中にサーバーを起動するとローカルでのシグナルが停止します。しかしMigrationモードをAllまたはシグナルにした場合は、VPS上で自動的にシグナルの購読が有効になり、ローカルのMT4では次の画像のようにリアルタイムシグナルが無効になりますが自動売買は問題なく行われます。(サーバーとローカルの表示が同期しない)
公式の意図としては、VPS上でシグナルがオンになっていればローカルはオフで問題なく、そのままMT4を終了させてくれということなのでこういった仕様になっている模様。
チャートの表示数は極力減らす
必要なEAやカスタムインジケーターを設定しているチャートのみを表示し、不必要なチャートを閉じることでトラフィックの軽減となります。
表示する通貨ペアの数を減らす
マーケットウォッチ(気配値表示)に表示されている通貨ペアを減らすことでもトラフィックの軽減となります。こちらも必要な分だけを表示するようにしましょう。気配値表示で右クリックし通貨ペア一覧をクリック(Ctrl+UでもOK)し非表示にしたい通貨ペアを選ぶとOK。
EAを稼働させるなら必要なチャートだけ開いてEAをセットし、気配値を右クリックして「通貨ペア数の最小化」をクリックすれば必要な通貨ペアだけに簡単に減らすことが可能です。
EAは自動的に有効になる
MT4はEAを無効にすることができるが、バーチャルホスティング機能を利用した場合は自動的に有効になり無効にすることはできません。利用しないEAはチャートから消しておかないと意図していないEAを使用することになるかもしれません。
DLLは使用できない
DLLコールは許可されていないためエラーが出ます。
メール、FTP、シグナルの設定
使用するEAがこれらの機能を使用する場合はツール->オプションから設定が正しいか確認しましょう。
スマートフォンで通知を受け取る
iPhone、iPad用アプリの使い方のページでスマートフォンで通知を受け取るための設定方法を紹介しています。しかし、Migration ModeをSignalにした場合、MT4を起動していないと通知を受け取ることができない(VPSなのに)ため、通知を受け取りたい場合は設定で有効にした上でMigration ModeをAllにしよう。
次の画像のように、VPSを右クリックしSynchronize experts, indicators and signalを選択。
使ってみた感想
多少がクセがあるのでVPSに慣れていたり、10ドル安いVPSがあるならあまり使う価値はないかもしれません。支払いもMQL5コミュニティ経由なのでそう考えるとそこまで便利とは感じません。
まぁ、1つの選択肢として覚えておいて損はないと思います。