海外FX業者は追証を請求しない、と初めて聞いた人は疑いを持つかもしれませんが、実際に多くの海外FX業者が追証を請求しません。なぜそういったことが可能か解説してみます。
なお追証の定義を、取引口座の残高以上の損失が発生しマイナスになること、とします。ゼロカットとも呼ばれていますね。
追証なしの理由
シンプルに次の2つだと私は思っています。
- サービスの一環
- 取り立てや裁判が難しいから
請求されなかった分は誰が負担しているのか
これはFX業者が負担します。FXCMはこの額が大きすぎて身売りする羽目になりました。
追証を請求しなくてもOKな仕組み
そもそも高額の追証を請求しなくてもいいというより、高額の追証が出ないようにしています。
例えばレバレッジ制限です。
指標や大きなニュース(選挙や国民投票)の時に50倍くらいまでレバレッジを下げたりします。FXCMが壊滅して以降はかなり厳格に制限をするようになったように感じます。
あとは残高が数百万円とかになると下げられたりします。
頻繁に高額の追証がでなければ、普通に収入でカバーできますからね。これがサービスの一環という意味です。
なので少額のマイナスは頻繁にお目にかかれると思いますw
追証を請求しないのはノミ業者?
「STP業者=追証請求」とは限りませんし、「追証なし=ノミ業者」というわけでもありません。
中には完全なノミ業者もあり、そういった業者はトレーダーがマイナスになるほどの損失を出したということは逆に利益を出しているので痛くも痒くもありませんが、ノミ業者の反対であるSTP業者でも追証を請求しないのは多いです。
STPとはストレートスループロセッシングの略で、FX業者がトレーダーの注文を市場に直接流す決済方式のことを指します。STPではないということはFX業者が一旦トレーダーの注文を自社で処理し、他のトレーダーの注文と相殺(マリー)させるかまとまった量になったらカバー先に出すという処理の仕方をします。
しっかり利益を出しており、トレーダーが大きなマイナスにならないように日頃から対策をしていればノミ業者でなくても可能ということです。
日本国外のグローバルに活動しているFX業者は、その国だけでなく様々な国のトレーダーを受け入れているため、追証を取り立てることが大変難しいというのが追証なしの大きな理由ではないかと考えます。日本のブローカーでスイスフランショックによる追証分を取り立てるために個人投資家を相手に裁判をしているところもあるそうです。しかし、国境を超える裁判になると非常に難しいのは明白です。
追証はあると宣言するFX業者
特にSTP業者に多いのですが、「口座がマイナスになってもゼロに戻してくれますか?」と尋ねると、「いいえ」と答える業者もなかにはあります。
しかし、実際に取り立てと回収が可能かと考えるとやはり難しいでしょう。「いいえ」と答えることによりトレーダーに責任感を持った安全なトレードを促すという目的もあるのではないかと思います。
もし、そういった業者でマイナスになってしまっても、もう1回入金するのでリセットしてもらえないか、と交渉するのも1つの手です。実際に某オーストラリアの業者で、マーケットクローズ時にマイナー通貨のスプレッドが異常に広がって強制ロスカットされ数万円のマイナスになった口座を放置していたら勝手にゼロになっていたことがあります。その業者は「いいえ」と答えた業者です。
追証を請求されないことの大きなメリット
メリットは1つです。いきなり高額の借金を抱える心配がなくなることです。
最大損失額があらかじめ把握できるというのは大きなメリットです。
追証なしを利用した戦略
追証なしにより勝てるようになる、ということはありませんが、追証がないということは最大損失額は常に口座残高と等しくなります。海外FX業者はハイレバレッジを提供しているのでハイリスクハイリターンを狙うトレーダーも多いです。1万円から10万円ほどを口座に入れておき、なくなれば再度同額を入金し・・・を繰り返すことで一度に高額入金するよりリスクを簡単に抑えることができます。
しかし、取引ボーナスと追証なしを利用したアービトラージ(両建てやギャップを利用)はどこの業者も禁止なのでやめておきましょう。
下記ページでXMのボーナスについての禁止事項や注意事項を紹介しています。
スイスフランショックで追証請求なし
2015年1月15日に発生したスイスフランショックは、EURCHF(ユーロスイスフラン)が2000ピップス以上下落し、多くの業者でストップロス注文が機能しませんでした。
多くの業者が損失を出し、中には破綻してしまった業者もありました。しかし、ほとんどの業者は追証を請求せず、FXCMも一夜にして250億円以上の損失を出しましたがトレーダーに請求はしませんでした。(回収できると考えていないのでしょう)
FXDDとExcel Marketsで起こったこと
FXDDはスイスフランショックで破綻はしませんでしたが、Excel MarketsはアルパリUKと同じくスイスフランショックが原因で破綻してしまいました。
この両業者で起こったことは、複数口座を保有するトレーダーに対し別の口座のマイナス分を補填するために追証が発生していない口座から資金を勝手に徴収したことです。
例えば口座Aがマイナス10万円となってしまったが、口座Bは無傷で残高が20万円。この状況で口座Bから10万円を強制的に引き出すといった感じです。
こういったことが起こったのは事実ですが、これはかなり稀なケースで、普通は同じ業者内の別口座であればマイナス分をカバーする必要はありませんし、そういった強引な回収方法は他に聞いたことがありません。
Excel Marketsは破綻、FXDDは2014年にアメリカから撤退しFXCMに顧客を売却したりということがあったので、おそらく経営に苦しんだ末の対応だったのでしょう。
勝手に追証の補填をされないために
- 複数のFX業者に資金を分けてトレードする
- マイナスになるような危険なトレードを控える
この2つを心がけましょう。
ほとんどの海外FX業者は大丈夫ですが、万が一もあるので自衛手段は知っておきましょう。