TAVITTという横断検索型の旅行提案サービスを提供していてICOを実施する会社がプレスを出しました。
http://tavitt.co.jp/2018/03/07_347/
内容は日本の金融庁と協議をした結果、日本居住者にICO(トークンセール)を実施することはできないという回答を得たものです。
TABITTさんのプレスから引用させていただくと
・日本居住者は日本の仮想通貨交換業の登録がない海外法人が実施するICOを購入してはならない。
・非日本居住者(海外に住む日本人)はICO購入可能。
・日本の仮想通貨交換業の登録がない海外法人が実施するICOは、日本居住者が購入できない体制でない場合、ICOを実施してはならない。
・金融庁はwavesの技術面を理解しないまま、日本居住者が購入可能な状態を継続することが資金決済法違反の状態にあると断定している
・日本居住者はWaves等のプラットフォームで販売されている仮想通貨を日本の仮想通貨交換業務の登録がない海外法人からは購入してはならない。
まあこれは仮想通貨関連の規制が日本でできた時点で当然予測できたことです。
さて今後の流れですが、個人的な予想としては海外FX業者の流れと同じく「日本の金融庁に従って日本人にだけサービスを提供しないところ」と「無視してサービスを提供するところ」に分かれると予想してます。要するに無登録業者が完全排除されることはないということです。
海外のICOに参加するのは問題か
そもそも日本の金融庁を無視してICOを実施するような所からトークンを買うことは問題なのかということですが、問題ないでしょう。金融庁に咎められるのはユーザーではなくその会社です。
金融庁は「ダメだよ」ということはできますかその業者を完全にストップさせることはできないんです。
日本の法律的にはダメだけどグレーの路線を行っているということを把握してトークンを購入したりサービスを利用して、しっかりリスクを理解できるのであれば問題はないと思います。
残念ながら多少日本の法律を無視していたとしても、良いサービスを提供することは普通にありえます。そこを見極めて上手にメリットを享受できるようにしましょう。
https://t.co/jBkb7ZDv6r イケダハヤトの「最近のICO規制について」のポッドキャスト、理解が間違っている部分がある。FinCENのルールでは仮想通貨のイシュアーならびに交換業者はFinCENに登録しなければいけない。それを怠ると最大で禁固5年の刑。これはイシュアー、金融機関だけでなく…
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) March 8, 2018
イケダハヤト氏も概ね同じこと(ICO参加はOK)をラジオで言ったことに対するツイートです。
これはイシュアー、金融機関だけでなく、銀行の行員や、違法と知りながら仮想通貨(ICO)を買った投資家にも適用される。
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) March 8, 2018
実際に仮想通貨のイシュアーが罰金を払ったケースでは、リップルがロジャー・バーを「前科者」と知りながら、彼と取引したケースがあります。https://t.co/Pc3i1McJ1n
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) March 8, 2018
例えばICOに参加した数万人全員が罰金系を食らうとは思えません。我々一般人が同じ目に遭うとは到底思えません。こんなこと言うのも問題かもしれませんがそれが一般人の「共通認識」かと。高額な投資をする場合は注意が必要でしょうけど。
すでに国外のICOに参加した人
これに関してはすぐに行動を移す必要はないでしょう。この問題に対して行動する必要があるのは業者側だからです。
ただ将来どういう問題が出てくるか分かりません。「日本人に向けてICOをしていた無登録業者」という金融庁からの発表が名指しであれば、少なからずそれは悪いニュースとして扱われます。ということはトークンの価格下落や敬遠につながるかもしれません。
金融庁に警告を受けたマカオのブロックチェーンラボが無登録業者として警告リストに載ってますね。これから似たような会社がすべて報道されるわけじゃないので、淡々とこのリストに追加されていくんでしょう(海外FXと同じ)
無登録で金融商品取引業を行う者の名称等についてhttps://t.co/DR3QgkXM4U
— メガネくん (@fxsearch1) March 8, 2018
警告内容はこれです。
当該業者は、ウェブサイトにおいて「CtC」と称するICOの申込みを受付けていた。なお、当該業者は、資金決済法における登録を受けずに、インターネットを通じて、仮想通貨の売買の媒介を行っていたとして、金融庁より警告を受けている。
金融庁のサイトはこちらです。警告書の発出を行った無登録の海外所在業者:http://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/mutouroku/03.pdf
日本人にとって海外のICOはどのように変化するか
全世界のICOを実施する会社が日本の法律を把握していると思いませんが、従うのであればKYCを実行したり、せめて居住地を問う選択肢を出して日本居住者を拒否していくというのが妥当です。
ただ国外のFX業者に罰金を科せられるアメリカと違って、日本は国外に対する法的拘束力が弱いため結局日本人が参加できるICOはなくならないと思います。
しかも購入者に至ってはお咎めはないので購入だけに関してはデメリットはないでしょう。
でも購入後に販売元の会社が責任を問われて、仮に会社が潰れた場合はそのトークンを保有している人にも影響が出るので間接的にデメリットはあると言えます。あくまでも会社を存続できないほど追い詰められた場合ですけど。
海外の仮想通貨取引所はどうなるか?
似たような話題ですが、バイナンスなどの海外の仮想通貨取引所は日本の仮想通貨交換業者として登録されていないため日本での活動は禁止されています。
例えば現在日本人に対してサービスを提供している海外FX業者は
- 日本にオフィスを置かない
- 日本人サポートも日本在住者を雇わない
- 日本で無登録であること、日本人向けのサービスではないと明記
するなどして最低限の立場を明確にしています。これくらいなら簡単にできますね。
特に仮想通貨取引所は本人確認なしで利用できることが多いので、尚更日本人を拒否することは難しいです(完全にKYCを行っている海外FX業者でさえわざわざ日本人を拒否しないことが多いですけど)。
海外業者が日本の仮想通貨交換業者として登録するメリット
海外FX業者が日本に登録して正々堂々と商売をしない理由はいくつかあると思いますが、お金と手間がかかることとレバレッジ制限などが考えられます。外国企業で日本で頑張っているのはオアンダやゲインキャピタルなど超大手だけです。同じ土俵で戦って勝てるとは思えません。
しかし仮想通貨取引所に関しては、そもそも交換業者登録の条件などは不明ですが、レバレッジ制限も問題になりませんし、もしかしたら続々と海外取引所が登録するかもしれません。
まぁバイナンスがそれっぽい動きをしてすぐになくなったから無理だと思いますけど…w
海外FX業者の歴史から学ぶ今後の海外仮想通貨取引所やICOの未来
海外FXユーザーも金融庁の圧力によって、長年使いたい業者が使えなくなったりいろいろ不便を強いられています。
しかし日本ユーザーを失いたくないという海外FX業者も色々と対策することで、結局日本人の海外FXユーザーをなくすことはできず現在もいたちごっこが続いています。
そのいたちごっこも海外FX業者が小さなオフショア国に法人を移動させることで日本側はお手上げ状態(個人の感想)になってしまったのではと感じています。
海外FXの歴史ではオーストラリアが完全に日本人ユーザーを拒否していてイギリスの業者も日本人を基本的に受け付けていません(完全NGだと思ったらOKなところがある謎)。
その他にも個別に拒否している業者はいっぱいあります。私も日本人拒否の業者をたくさん見てきました。
無視して営業しているところもあればキッパリと拒否しているところの違いは日本人ユーザーがいたかどうかですね。日本人ユーザーを大量に抱えていて一気に拒否したケースはないかと思います。(ここだけの話、オーストラリアの業者でも別の関連会社に移動させたところがある)
あるとすれば上場企業みたいに大きなところでしょう。
自粛だけじゃなくこれだけ日本人NGにできた理由は規制当局への圧力だと思っています。実際に日本金融庁は各国に足を運んでいると業界の人に聞きました。
ということは規制当局に監視されていていない多くの仮想通貨取引所への圧力は効きにくいはずです。
日本人が使う海外FX業者の所在地
現在ほとんどの日本人ユーザーは規制が強い国のFX業者を使っていません。ほとんどがセーシェル、ベリーズなどのオフショア国の業者です。残念ながら規制は弱いのでほぼ100%、その業者の信用に依存するという状況の代わりにハイレバレッジという環境を得ています。
仮想通貨取引所やICOを実施する法人は、こういうオフショア法人を今後もガッツリ活用してくるでしょう。
金融庁の圧力は無力か?
仮想通貨業界も大体のことは海外FX業者が辿った道を同じく辿ると思います。少なくとも参考にはなります。FX業者と違うのは、フィアットや銀行を必ずしも通す必要がなく様々な規制されにくい技術がこれからも出てくるという点です。
だとすると個別に圧力をかけないといけなくなり大変ですし会社側も簡単に従う理由がありません。罰則なんてないようなものですから。
さらにさらに金融庁が海外FX業者対策で行った圧力は銀行への圧力も大きいのですが、仮想通貨界ではみんなビットコインなどを使ってやり取りするためこの圧力もあまり効果がないでしょう。ちなみに銀行に圧力がかかると銀行送金で資金のやり取りができなくなったりカード決済も拒否されることになります。どっちも仮想通貨界にはあんまり関係ないかも…国内でBTCやETH買えばいいだけだし。
まあとにかく不便を強いられることはあるかもしれませんが、海外拠点のICOや取引所が完全に使えなくなることはないでしょう今のところは。
特に仮想通貨に関しては日本人の利用は結構多いのでバイナンスなどもそう簡単に日本人を手放すとは思えません。
それにバイナンスなどのしっかりしたところであれば、仮に「日本人はもう使えません」ということになっても1ヶ月ぐらいの出金猶予が与えられポジションの手仕舞いが必要になるくらいです。要するに引っ越しの手間を強いられるというくらいです。数年海外FXやってる人は結構経験してるはず。それでもお金が帰ってこなかったというケースはなかったはずです。
日本人にとってアルトコインの調達だけでも海外取引所に頼っている部分が大きいので、これからもどんどん使っていくといいでしょう。
(こういう内容は真面目な人に怒られるかもしれませんね。私は法律や専門的なことを解説したいのではなく、ユーザーとしての「現状」を書いたまでです。)