トルコリラや南アフリカランドのような高金利通貨が注目されており、金利の低い日本に住む日本人から見れば「金のなる木」に見えるかもしれません。銀行でもこういった通貨やオーストラリアドル、ニュージーランドドルの外貨預金の勧誘をよく見かけます。
銀行の外貨預金もFXでの高金利通貨の取引も基本的には同じです。安易に手を出すのは良くない理由を解説します。
なぜスワップ狙いはやめたほうがよいか、それは為替差損が無視できないからです。
まずは実際(といってもデモ口座ですが)にFXでユーロトルコリラペアのショートポジションを保有してみました。
利用業者 | FxPro |
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通貨ペア | EURTRY(ユーロトルコリラ) |
取引量 | 1000通貨 |
1ピップの損益 | 4.6円 |
買いスワップ | -33円 |
売りスワップ | +15円 |
新規注文価格 | 2.95974 |
決済価格 | 2.94156 |
損益額 | +836円 |
損益ピップス | +181.8ピップス |
スワップ損益 | +209円 |
保有日数 | 14日間(2015年7月8日~7月22日) |
最大含み益 | +1411.4ピップス(約6490円) |
最大含み損 | -232ピップス(約1070円) |
結果だけ見ると、利益の20%がスワップ額なので効果絶大と思われるかもしれませんが、これはたまたまエントリー価格に戻りつつあったタイミングで決済したからで、どちらか一方に大きく動いていたらどんどんスワップの価値が希薄していきます。
スワップより為替差損のほうが明らかに多い、というより為替差損を狙うほうが簡単なのです。
また、今回はテクニカル指標を参考に下降トレンド時にショートをポジションを持ったため、ただ闇雲に売ったわけではありません。
次の画像はEURTRY4時間足
次の画像はEURTRY週足です。ずっとショートポジションでスワップを狙うなら、逆にスワップ払ってロングで為替益を狙ったほうがいいですね。
EURTRYと別の高金利通貨のUSDZAR(南アフリカランド)の週足を見てみましょう。
次の画像はUSDZAR週足です。EURTRYほど右肩上がりではありませんがずっと持っておくのは辛いです。
このような形のチャートのショートポジションを持たなければならないのは非常にリスクが高いです。「いつか戻ってくる」というのは間違いではありません。長期間保有すればするほどスワップは大きくなるからです。しかしスワップが為替差損を上回るのは10年後では済まないかもしれません。しかも十分に利益を出すのはさらにその先です。
スワップを狙うのであればやはり為替差損は無視できず、
- トレンドに乗ったついでにスワップも
- 高いスワップを払って金利の高い通貨を売る(EURTRYとUSDZARならロングポジション)
のほうがよほど稼げるでしょう。
これは銀行の外貨預金でも理屈は同じで、最後に円に戻すのであれば結局為替差損は発生します。FXと違うのはレバレッジをかけるかかけないかです。
2018年8月のトルコリラの状況
米ドル/トルコリラの月足チャート。エライコッチャですね。
普通の業者は取引制限入ってるでしょうから素直に傍観でしょう。 pic.twitter.com/iGfJb5ak7s— ヨネダ メガネ (@yoneda_megane) August 10, 2018
控えめに言って地獄
別業者を利用して稼ぐことは可能
それでもスワップで安定して稼ぎたいという人にはスワップアービトラージがよいでしょう。アービトラージとは裁定取引(さや取り)のことを指し、例えば今回の例で言えばロングのスワップは-33円なので、別の業者でショートのスワップが+34円以上のところで両建てすれば安全に稼ぐことができます。逆ならスワップショートが+15円なのでロングスワップが-14円以内に収まるところですね。(金額は業者により異なります)
両建てしてスワップ額だけ変動していないか確認して放置すればいいだけなので簡単です。マイナー通貨なのでスプレッドの広がりによる強制ロスカットに気をつけなければいけませんが。
スワップフリー口座
海外FX業者はスワップフリー口座を提供していることが多いです。スワップフリー口座は金利を受け取ることが禁止されているイスラム教徒用トレーダーに用意された、一切スワップが発生しない口座です。
浅知恵が働く人は、このスワップフリー口座を開設しマイナススワップのポジションを取り、他の業者でプラスのスワップのポジションを取るということをしようとします。
しかし、多くのブローカーではイスラム教徒ではないユーザーにスワップフリー口座の開設を許しませんし、誤魔化して登録したのがバレたら凍結される可能性も高いです。
また、スワップフリー口座はスワップが発生しない代わりに持ち越しに手数料を徴収する場合があります。
そもそも裁定取引のようなリスクのない取引は、その方法や手段にもよりますがブローカーに嫌われることが多く、それが禁止事項であれば利益の没収は覚悟しておいたほうが良いでしょう。
また、ボーナスを提供しているブローカーが多い海外FXでは、ボーナスを受け取った口座を利用した両建て取引は禁止事項に抵触する可能性が非常に高く、トラブルが非常に多いです。例え別のブローカーで両建てしてもバレるので安易な気持ちで簡単に儲かるかもしれないというのはやめておきましょう。
結論
やめとけ